帳票DX

導入事例


40万人の社員を擁する企業グループの「紙文化」からの脱却
10万件の集中アクセスに耐えるDX環境構築への挑戦

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(右から)BPO事業部 統括主任 溝口 大和氏
BPO事業部 津村 悠理氏


郵政民営化が施行された2007年に人材サービス会社として創業した日本郵政コーポレートサービス株式会社。設立から4年後の2011年には郵政グループ全体にシェアードサービスを提供する企業として位置づけられ、以来給与計算や健康管理などの人事労務や総務などの業務を受託。その豊富な知見とノウハウを活かし、現在では郵政グループのみならず多くのクライアントに質の高いBPOサービスを提供している。同社は郵政グループの全社員が利用する『JP社員マイページ』を開発、併せてオプロの『帳票DX』を導入した。全国40万人の社員の利便性を高めたDXに、『帳票DX』がどのように貢献したのかをBPO事業部の溝口氏と津村氏に伺った。

記事の要約
  • 【課題】40万人の社員を擁する企業グループの「紙文化」からの脱却
  • 【選定】最大40万人の集中アクセスに耐えうるシステムとユーザビリティの両立
  • 【運用・評価】給与明細データ公開日の10万アクセスにも対応 見たい時間にいつでも見られる環境を構築
  • 【今後】機能やコンテンツのさらなる充実 始まったDX推進の歩みを止めない

【課題】40万人の社員を擁する企業グループの「紙文化」からの脱却

郵政民営化が施行された2007年に創業し、現在では郵政グループのシェアードサービス会社としてさまざまなバックオフィス業務を請け負う日本郵政コーポレートサービス。創業以来蓄積された知見とノウハウを活かし、現在では人材サービス・BPO・ヘルスケアの3つのソリューションを柱に郵政グループをはじめとする多くの企業に質の高いサービスを提供している。

「日本郵政コーポレートサービスは郵政グループのシェアードサービス会社として人事労務業務などを一手に受託しています。2021年にグループのバックオフィス業務を当社に集中させる、かつグループ全体で積極的なDXを推進するという方針が掲げられているため、その担い手としても日々活動しています。また、これまで蓄積したノウハウを活用し、グループ外部のお客様にもサービスを展開しています。我々が所属するBPO事業部は、グループ内外企業の各種業務を当社で受託するための調整や、実際に業務を行う熊本、東京、埼玉のBPOセンターへのスムーズな連携を担っています。」(溝口氏)

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郵政グループ以外にもクライアントを擁する同社だが、圧倒的なボリュームゾーンはグループが抱える全国40万人を対象とした業務だ。

「グループ主要4社で抱える社員は40万人ですので数としては圧倒的です。従来、現場の給与明細や源泉徴収票などはほぼすべて紙で交付していました。例えば郵便局であれば、各現場の庶務担当が拠点の社員の給与明細を印刷して封入して手渡すといった形です。そうした課題に対して我々が企画したのが、『JP社員マイページ』です。マイページでは現在、給与明細や源泉徴収票データの確認・出力や各種証明書を申請・出力できるようになっています。サイトの企画検討・開発からリリース後の運用、改善などすべてをBPO事業部で担当しています」(溝口氏)

さまざまな事例を伺っていても、システム部門がメイン担当ではないのは珍しいケースだ。あくまでも主担はBPO事業部となり、システム的な知識や判断が必要なところではシステム部門の意見をもらいながら進めたという。

「最大で40万人が使うシステムです。まずはそのアクセスに耐えうるものにしなければならないという大きな課題がありました。というのも、給与明細ってみんなほぼ同じタイミングで見るんですよね。つまり、給与明細の公開直後にある程度負荷が集中するということです。この課題のクリアが一番大きなものでした。また、社員の年齢層は大きな幅があります。年配の社員も多く、そうした人たちからは紙からWebへの移行に当初拒否感もありました。そのため、できるだけ違和感なく使いやすくしてほしいという要望があらかじめ寄せられていました。」(溝口氏)

同社は『JP社員マイページ』の制作にあたって、SalesforceExperience Cloudを採用。20239月に第一弾がリリースされた。

「リリース初期のものについてはユーザビリティの部分ではまだまだ改善の余地がありました。そこは翌年改修を行い、ログイン時の認証方法をはじめ直感的に使えるデザインに一新しました。」(溝口氏)

この『JP社員マイページ』のリリースに伴い導入検討が必要になったのが、『帳票DX』をはじめとする各種帳票ツールだ。そこにも前述の大きな課題をクリアすることが大前提となっていた。

【選定】最大40万人の集中アクセスに耐えうるシステムとユーザビリティの両立

「給与明細や源泉徴収票などの帳票を出力するためのツールとして、『帳票DX』を含めいくつか検討しました。最終的にはプロジェクトに入ってもらっていたコンサルティング会社からの勧めもあり、Salesforceとの親和性が高い『帳票DX』を採用することにしました。」(溝口氏)

具体的にはどう評価いただいたのだろうか。選定について詳しく伺った。

「ユーザーが違和感なく移行できるようにという要望に応え、帳票のデザインなどは極力変えないことを前提としていました。郵政グループの給与明細はかなり項目が細かく分かれていて行数も多い。『帳票DX』では、オプロのサポートもあって元の形とほぼ変わらないデザインで出力できています。」(溝口氏)

もう一つの大きな課題への対応についても伺った。

「冒頭からもお話している通り、40万人がほぼ同時にアクセスすることに耐えうるシステムであることが必要です。Webに移行して一回にどの程度のアクセスが集中するかはわかりませんでしたが、環境としては最大数のアクセス時も安定稼働を担保しなければなりませんでした。検討していく中で、『帳票DX』のPrivateプランであれば対応可能だということが分かり、これが最大の決め手になりました。具体的にはアクセスが集中する時期にはサーバーを増設し負荷に耐える環境を構築するというものです。」(溝口氏)

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スケーリングのイメージ図

こうして『帳票DX』を採用いただくことになった。

【運用・評価】給与明細データ公開日の10万アクセスにも対応 見たい時間にいつでも見られる環境を構築

続いて、実際に導入された後の運用状況やその効果について伺った。

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「実際に運用を始めてみると、アクセスが集中的であることが分かりました。給与明細データの公開日には多いときで10万アクセスを超えることもあります。それ以外の期間は一日数千件単位なので、月間通してのアクセス数の変動はかなりありますね。でも安定して稼働しています。」(津村氏)

利用している現場の反応はどうなのだろうか。

「パソコンだけでなく自分のスマホからも24時間気軽にアクセスできると、とても好評です。アクセスが一番多いのは給与明細公開タイミングなんですが、公開されるのが給与支給日の午前0時なんです。そこから午前1時くらいまで、つまり深夜が一番アクセスされるんですね。ユーザーが見たい時間にいつでも見ることができる環境を作れたことはよかったと思っています。」(溝口氏)

【今後】機能やコンテンツのさらなる充実 始まったDX推進の歩みを止めない

最後に今後の展望やオプロや製品への期待について伺った。

「アクセス状況からも分かる通り、現在は給与明細データの確認や出力がメインの用途となっています。昨年度から追加機能開発により各種証明書が申請・出力できるようになっていますが、ゆくゆくはそれ以外の人事労務機能も拡充できればと考えています。また、社員が日ごろから活用できるようなコンテンツも増やしていきたいなと。グループ各社からも要望をヒアリングして取り組んでいければと思います。」(溝口氏)

日本最大級の規模を誇る日本郵政グループ。民営化に踏み切って以来、多くの変革に前向きに取り組んでいる姿勢は我々も日々の生活の中で感じているところだろう。その取り組みの一助として、オプロもスケーラビリティへの提案という新しい取り組みの機会をいただいた。これからも目指すゴールに向かうための最適解を提供するために日々尽力したい。

 

※記載されている内容は、取材当時のものです。(取材日:2025425日)

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